2月15日の代執行訴訟の記事をとりあえず、気になるところを抜き出してみる。
①琉球新報の1面トップ記事
『 知事、和解案前向き 』工事停止が条件、暫定案、裁判所に回答 〈代執行訴訟第4回弁論〉
米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設をめぐり、翁長雄志知事の辺野古埋め立て承認取り消し処分の取り消しを求めて国土交通相が提起した代執行訴訟の第4回口頭弁論が15日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。
二つの和解案のうちの「暫定案」について、国が代執行訴訟を取り下げて埋め立て工事を停止した上で、新たに解決に向けて協議する内容であることを県側が初めて公表した。
翁長知事は弁論後の会見で「(裁判所に)暫定案について前向きに検討する旨回答した」と明らかにした。
工事停止が条件となっており、和解が成立すれば県が国を提訴した二つの訴訟に関しても「訴えの利益」がなくなり、終結する。
県弁護団の竹下勇夫弁護士は「三つの裁判が暫定的に解決し、工事も止まるため、県としては傾聴に値する案だ」と述べた。
承認取り消しの取り消しを求め、国が代執行に比べ強制力の低い「不作為の違法確認訴訟」などを提起した場合、判決には双方が応じるとの条件もあるという。
県側によると、裁判所は弁論後の協議で「暫定案」の公表を認めた一方で、県が承認取り消しを撤回する代わりに、国側が新基地の使用期限を30年と定めることや、軍民共用化を米側と交渉することを提示した「根本案」の公表は認めなかった。
承認取り消しをめぐる訴訟で裁判所が示す判決には「行政の長としてしっかり受け止める」と述べ、従う姿勢を見せた。
〔2面下段記事〕
②《「仲井眞氏と面代証言」前知事「環境厳しい」承認前月面談で認識》
翁長知事は仲井眞弘多前知事が埋め立てを承認する前月の2013年11月に面談した際に「環境が厳しい」との認識を示していたことを証言した。
1期目に続き、仲井真氏の2期目の知事選出馬の際にも選対本部長を務めた翁長氏は「何時間も話して県外移設を公約にすることになった」と経緯を説明した。
当選から2年半ほど経過したころ仲井眞氏が「与党も変わらないと私も了解できない」と話していたことを何度か耳にしたという。
13年夏の参院選に向け、自民党本部と県連の移設問題に関する政策のねじれが課題となっていた時期と重なる。
13年の11月10日ごろ面談した際、仲井眞氏は承認について「どうしようかと思っているんだが」と述べた。
翁長氏が「将来、子や孫に(評価)に耐えられるよう」と伝えると、事業を実施いた場合、環境への影響が大きいことに言及したという。この後に会話をする機会はなかったという。
国との集中協議の際、菅義偉官房長官から「代執行も考えている」と伝えられていたことも明らかにした。8月の第1回集中協議の前日に会食した際のこととみられる。翁長知事は国側の尋問では明言しなかったが、県側の弁護団に促される形で明らかにした。
③《「佐喜眞氏再選」「5年以内ともに主張」》
翁長知事は1月の宜野湾市長選で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を進める政府・与党が推す佐喜眞氏が再選を果たしたことについて「(仲井眞前知事と政府が約束した)5年以内の運用停止というのを、これから強く県民一つになって訴えていける大きな柱ではないかと思っている」と総括した。
翁長知事が市長選で推した志村恵一朗氏の選挙戦では明確に辺野古移設に反対した一方、佐喜眞氏が普天間飛行場の移設先については明言しなかった。
この点について翁長知事は「辺野古の新基地を造らせないことと、普天間の市民が早くどかしてほしいという中で(市民は)苦渋の中で選択をした」と振り返った。
またこれまでも苦渋の選択をしてきた名護市とも重ね合わせた。
その上で「5年以内の運用停止」について空手形の「話くわっちい(話ばかり)」と批判しながらも、佐喜眞氏が当選したことから「今回の選挙の意義はあるのでないか。(佐喜眞)市長もしっかりと主張した報道もあった。こういうことも形にとして、まとまってきた」と述べた。
〔3面〕
③《県側、国の対応注視「弁護団「傾聴に値する」》
代執行訴訟第4回口頭弁論終了後の15日午後、翁長雄志知事と弁護団は県庁で記者会見した。
竹下勇夫弁護士は裁判所が示した和解案について「次回期日の2月29日には何らかの国の考えが聞けると聞いている」と述べ、暫定案、根本案ともに国の方針が示される見通しであることを明らかにした。
翁長知事は最高裁で敗訴した場合、判決に従う考えを示したが「ありとあらゆる手段を講じて辺野古新基地を造らせない手法はまた別の形である」と述べ、新基地建設阻止の取り組みを駆使し続ける考えを示した。
和解案について加藤裕弁護士は、県が訴訟を取り下げて沖縄防衛局が埋め立て工事を停止するなどの暫定案の概要を明らかにした。
一方で根本案については「現時点でまだ明らかにすることにはなっておらず、県の対応につても検討もしていない」と現状を説明した。
暫定案について「前向きに検討したい」と回答した理由について竹下弁護士は「代執行訴訟、国地方係争処理委員会に関する新たな訴訟、抗告訴訟のすべてを暫定的にではあるが同時に解決でき、工事も止まるため、傾聴に値する案だと考える」と述べた。
判決に関して翁長知事は「沖縄の基地問題が解決しなければ日本の民主主義、アジアのリーダーとしての役割も厳しい。沖縄の基地の過重な現状やそれを是正できない日本の民主主義のあり方も見通した上で客観的な判断を願いたい。裁判所を信じたい」との期待を語った。
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