10年前のことを思い出している。
釣り人は抑えきれない興奮と脱力感でいっぱいであった
数度の挑戦で初めて釣り上げた2mを超える大魚を目の前にして
釣り人は息子よ父の偉大さを知れと思った
祝いの酒と疲れで今夜は深い眠りにつくだろう
満月、月に一度のランデブーの日
待ちきれず早めに着てしまった
まだ、日は高い
月が山吹色になるまで、ゆうに5,6時間はある
誇り高きカジキは
自慢の曲がった角に懸けて先に来たとは言えネイ
そういえば昼飯も喰ってなかった
宮古曽根まで寄ってみることにした
回り道がよくなっかた人間がいる
避けて通ろうと思ったが
遅かった、性には勝てない
オッと習慣でつい銜えてしまった
何じゃこりゃ
イタタタタ、アガーヒャー
誇り高きカジキは釣り上げた釣り人を振り返って見た
朝いつも鏡で見る自分の顔だった
夢だった釣り人は夢を見た
再び眠りについた
そこは港のはずれだった
目の前に切り身にされた体があった
そのそばに曲がった角の頭があった
カラスがバカにしたように笑った
飛び立とうとしたとき思った
落ちろと
カラスが落ちた、海へドボンと
もがいてる、おぼれそうになりながら人のいる岸へ向かってる
哀れに思えた
山から白い真ん丸い月が出てきた
今夜は月に一度のランデブーだった
彼女と愛を語り、満月に向かってジャンプがしたかった
山吹色の月をもう見ることはない
今日、島でカジキが二本上がった
今年の初カジキだろう
初めてのカジキを釣った釣り人の名はジョニー宜野湾
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