昔の話である
以外だった
何の期待もしていなかった
試しにしゃがんで呼んでみた
手を差し出し指を動かして
私の後を五メートル離れてついてくる白いネコ
それが初めて
一瞬だが首筋を触れさせてくれた
1.5m以内には近づかなかったネコが
以外だった
それが数週間前だった
その白いネコは、五月の雨の長い夜にネコの話で書いた猫だ
その時の彼女はヨチヨチ歩きの子猫を三匹連れていた
強い雨が吹きつけ無事に夜を越せたか不安だった
三匹だった子猫も一匹になり
数日するとどの子もいなくなった
それでも彼女は私の家の周りをうろついていた
出会うたびになるべく声を掛けていた
夏のある日、向かいのダイビングショップに
夏を待ってたかのようにアルバイトの子が戻ってきた
その子もあの雨の日のこのネコを知っていた
子猫二匹は無事保護し知り合いが兵庫に連れて行ったそうだ
この白い母ネコともう一匹の子猫がどうしても見つからなくて気になっていたそうだ
元気な白いネコを見て安心すると同時にもう一匹の子猫のことがどうなったか
二匹の子猫を母ネコから取り上げたことなど気にし始めた
三匹ともあの日の大雨で流されたと思っていた私にとって
二匹が無事に兵庫で育っているとは予想外だった
私だけではなく他の人もあの日のずぶ濡れになった
白い若い母ネコと三匹の子猫が気になっていたとは思いもしなかった
そんなことがあり
なんとなく気に掛けていた白猫だが
昨夜、空模様と風が怪しい夕暮に家の向かいにあるタコ焼きバーで
そのアルバイトの子と一緒になった
夏の日以来ほとんど話す機会もなく偶然のことだった
あのネコ嫌いの若い管理人のペンションの脇にあるタコ焼屋である
フエフキダイを釣ってきてそれを刺身にして食べていた
当然ように白いネコもそこにいた
いつものように声をかけた
アルバイトの子にあの時の母ネコが来たよと
残った刺身を一切れあげた
咥えて走り去った
すぐに戻ってきて私に擦り寄り始めた
手を伸ばすと飼い猫のように平気で触れさせてくれる
そしてアルバイトの子の方に行き撫でて貰っている
彼女は誇り高きノラ猫である
彼女の行動にビックリである
今日も家の周りをうろつき
夕暮から夜に掛けて家の外を歩くと私の後をついてくる
でも手を出して触ろうとはしなかった
誇り高きノラ猫
気まぐれなのはネコか人間どちらなのだろう
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